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歯周病の治療
歯周病治療の詳しい流れ

歯周病治療の詳しい流れ

1.歯周病検査

歯周病を起こす細菌が増えると歯肉が腫れたり、出血したり、歯槽骨が溶けるなどの現象が起こります。重度になると、歯を失う恐ろしい病気ですが、初期の段階では患者様ご自身に自覚できるような症状がほとんど出てきません。そのため、歯周病を早期に見つけるためには、歯科医院で検査を受ける必要があります。専用の器具(プローブ)を用いて歯と歯肉の境目にある歯周ポケットの深さの測定、歯肉からの出血の有無、歯がグラグラ動いていないか、磨き残しがどこにあるかを検査し、歯周病の進行状況を調べます。


その他にも歯周病専門のエックス線写真を撮影し歯槽骨の溶けている度合を詳しく検査します。

2.細菌検査

当院では2種類の細菌検査を行います。位相差顕微鏡を使用した検査と歯周病原菌専用の細菌検査です。お口の中には300~400種類の細菌が、1mm³におよそ10億個いると言われています。この細菌が歯周病の一番の原因になりますので詳しく検査を行います。

位相差顕微鏡による検査は、患者様のお口の中から歯垢を採取して40倍ほどに拡大し、生きた細菌の種類や量、活動量などを検査します。

歯周病原菌検査では歯周病原因菌の約90%を占めると言われているP.gingivalis、T.denticola、T.forsythensisという3種類の細菌の量を検査します。この3種類の細菌はRed Complex(レッドコンプレックス)と呼ばれ歯周病が重症化する原因になる細菌です。細菌は量が多く、活動が活発であればあるほど歯周病になりやすいです。全ての歯周病細菌を「0」にはできませんが、数を減らし細菌が過ごしにくいお口の中の環境を作ることが歯周病活動を抑えたり、再発しないことに繋がります。

3.舌苔(ぜったい)検査

舌の表面には細かいがデコボコあり、細菌がそのデコボコの溝に入り込んで溜まり、舌苔として白く見えます。この舌苔も歯につく歯垢と同じように細菌の集まりですので、そのままにしておくとお口の中で繁殖します。舌と歯・歯肉は常に接触しているため、いくら歯と歯肉をきれいにしても舌に舌苔が付着していると歯周病が進行する原因になります。お口の中全体の細菌を少なくすることが歯周病治療で一番大切ですので舌苔を除去することが必要です。また舌苔があると口臭もします。

4.検査結果説明

最初に行った歯周病の検査結果を詳しく説明し、検査結果の資料をお渡しいたします。
現在のご自身のお口の中の状況がどのようになっているか、把握して頂くことが治療を進めていく上で大切です。

5.歯周病についての詳しい説明

歯垢と歯石の違いや歯周病の原因と進行、今のお口の中の状態を、スライドと口腔内写真を用いて詳しくご説明いたします。患者様の疑問点やお悩みにもお答えいたします。ご自身のお口の中の状態をしっかりと把握していただくことが治療の第一歩と考えております。

6.タバコの害についての説明

歯周病は細菌が原因で発症し症状が進行していきますが、細菌の他に歯周病が進行してしまう原因としてタバコがあります。タバコには、ニコチンや様々な有害物質の複合物であるタールが含まれているため、喫煙することで歯肉の血流が悪くなったり白血球の遊走能が低下したりするので歯周病が悪化してしまいます。

また、お口の中を浄化する作用がある唾液の分泌が低下し、お口の中が汚れやすくなります。そして全身の抵抗力が下がるため治療を行っても治りにくく、再発しやすいと言われています。タバコと歯周病についてお話をして、現在喫煙されている場合は減煙、禁煙を目指します。ご自身で禁煙できなければ禁煙外来をご紹介することも可能です。減煙、禁煙は歯周病治療には必須です。

7.歯周病についての詳しい説明

歯垢とは細菌の塊のことです。歯垢は歯と同じ黄白色をしているので、どこに付着しているかが分かりにくいため、歯垢染色液を使用して磨き残しを実際に確認します。紫色またはピンク色に歯垢を染色する染色液です。古い歯垢は紫色に、新しい歯垢はピンク色に染め出します。歯垢は歯磨きで落とすことができます。患者様の苦手な部分や磨く癖などを見つけ写真や図で記録をしておきます。色はブラッシングで簡単に落とすことができます。(医療用色素を使用)

8.通常の歯ブラシでのブラッシング

当院では、毎日のブラッシングを大切にしています。虫歯も歯周病も細菌がお口の中に住みついていることが原因で起こります。歯周病の治療も細菌を除去することから始まりますので、ブラッシングで隅々まで丁寧に磨くことが重要です。ブラッシングは患者様ご自身に行っていただくものですので、ご自宅でも毎回きちんとしたブラッシングが行える様に練習し、身につけていただきます。ただ磨くだけではなく、お口に合った磨き方で磨くことが必要です。歯並びや歯肉の状態に合った歯ブラシで磨き方を練習し、ご自宅でも実践していただきます。

歯ブラシはお口に合っているか、合っていないかで仕上がりに差がでてきますのでお口に合った歯ブラシをお使い下さい。歯周病を治すにはきちんとした歯磨きをすることが一番の治療法です。

9.歯間ブラシ、フロスを使う

通常の歯ブラシでは歯と歯の間の歯垢は約60%しか磨ききれませんので、歯と歯の間は歯間ブラシやデンタルフロスを使用してお掃除します。歯と歯の間の隙間の大きさや、歯肉の状態を診て適切な器具をご提案させていただきます。歯と歯の間に器具を入れるので、誤った方法で使用をすると歯肉を傷つけてしまいます。正しい使用方法を練習させていただきます。

10.舌苔を取る⇒舌ブラシを使う

舌の表面は乳頭と呼ばれる絨毯のようなデコボコのヒダがあり、その溝に入り込んでいる舌全体の細菌を集めると口腔内全体の細菌総数の半分以上を占めると言われています。その細菌がついた舌で歯や歯肉を触りますと細菌が歯や歯肉に付着し、歯周病が進行する原因になります。その細菌を取り除くために細菌の集まりである舌苔を取り除くことが必要になります。

舌苔を取るためによく歯ブラシで舌を磨かれている方がいらっしゃいますが、舌は非常にデリケートな組織ですので、歯ブラシでは刺激が強すぎます。舌ブラシという専用のブラシを使って舌の上をお掃除します。舌ブラシでも使用方法を誤ってしまうと舌が傷つき味を感じにくくなったり、舌に違和感が残ったりするので磨きすぎや力の入れすぎに注意して使用していただきます。

11.スケーリング(歯石除去)を行う

歯垢はとても硬くいったんついてしまうと歯ブラシでは取ることが出来ません。歯科医院で特殊な器具を使って取る必要があります。スケーラーという器具を使用して、歯肉の上に付いている歯石(歯肉縁上歯石)を除去します。これをスケーリング(Scaling)といいます。歯肉縁上歯石は灰白色や黄白色をしています。歯石の表面はザラザラしており、その上に歯垢がつきやすくなっていますので歯石はすべて除去します。歯石を除去するスケーラーの種類は大きく分けて2つに分けられ、先端が刃物になっている手用スケーラーと、専用の器具を機械で振動させて使用するタイプがあります。歯石の量や部位に応じてスケーラーを使用し、歯石を除去します。

歯肉の腫れ、赤み、出血などの炎症があるままで歯石を除去すると強い痛みがでたり、かなり出血したり、歯がしみるという知覚過敏の症状がでたりしてしまうため、歯肉が炎症を起こしている状態では歯石を除去することはできません。当院では先にブラッシングで歯肉の炎症を抑えてから歯石を除去するため痛みは最小限に抑えられます。

12.歯周病検査(2回目)

スケーリングを行ってから数週間後、歯肉の状態が落ち着いたら再度歯周ポケットの深さを測る検査を行い、どのくらい歯周ポケットの数値が変化し歯周病が改善しているかを調べます。

13.ルートプレーニングを行う

歯周病が進行している場合は、歯周ポケットが深くなるため、歯周ポケットの中にまで歯石が付いています。これを歯肉縁下歯石といいます。歯肉縁下歯石は歯肉中の血液(ヘモグロビン)と結合し黒褐色で、非常に強固に付いています。この歯肉縁下歯石を除去することをルートプレーニング(Root Planing)といいます。スケーリングを行い12.の検査の結果に改善が見られない場合はルートプレーニングを行う必要があります。

キュレットスケーラーという専用の器具を歯周ポケットの中に入れ、歯の根に沿わす様に上下に動かし、根についている歯石を除去します。また、レントゲン写真にも根の先の周囲に付いている歯石は写りますので、1つ1つ確認して歯周ポケットの中をきれいにします。

14.バイオフィルムを除去する

バイオフィルムとは細菌の集まりである歯垢の集合体です。歯垢は細菌が集合しているだけですが、時間が経過すると細菌同士がお互いの弱点を補い合い一つの集合体を作ります。表面がフィルムによって守られ抗菌性の薬や免疫細胞なども効果がなく、通常の歯磨きでは取り除くことができません。バイオフィルムは専用の研磨ペーストと専用の機械を使用して除去します。研磨材の細かさが異なるペーストを患者様の歯の状態によって使い分け、ゴム製のカップや回転式ブラシを使い除去します。カップはゴム製で、回転ブラシも柔らかい毛なので、歯や歯肉を傷つけることはありません。痛みもありませんのでリラックスして受けていただけます。

15.歯周病精密検査

ルートプレーニング、バイオフィルムの除去を行ってから数週間後、歯肉の状態が落ち着いたら再度歯周ポケットの深さを測る検査を行い、どのくらい歯周ポケットの数値が変化し歯周病が改善しているかを調べます。

16.必要に応じて歯の歯周病の手術を行う

歯周病が中等度~重度の場合、手術が必要になることがあります。15.の検査の結果、改善しない部分には歯周病の外科的な手術を行います。歯周ポケットが深いところでは、器具が歯石まで届かなかったり、届いても正確な操作が出来ない為、歯石を目で確かめられるように歯肉を切り、歯槽骨から剥がし、深いところの根の先にこびり付いて取れなかった歯石を除去し、滑沢にします。その後、切り開いた歯肉は出来るだけ元の位置に戻し、しっかりと縫い合わせます。これを行うことにより歯周ポケットを消失させ、歯周病を完全に治すことが出来ます。

17.ブラッシング、クリーニング、PMTCを行う

歯石除去や歯周病の手術を行うと、歯肉の状態は改善しますが状態が安定するまでは、少しの体調の変化で歯肉が腫れてしまうことがよくあります。歯周病が再発しないようにクリーニングを行い、ご自身では取り除くことのできない歯石やバイオフィルムを取り除きます。また、歯磨きがしっかりと出来ているかのチェックを行い、磨き残しがある場合には繰り返し磨き方の練習を行います。

18.歯周病最終検査

歯周病の手術を行い歯肉の状態が安定してから再度確認の為、歯周病検査、細菌検査、舌苔検査を行い、最初の検査結果と最終検査の結果を比較します。治療が終了となれば、定期的な検診を受けていただきます。

19.定期検診・メインテナンス

歯周病は生活習慣病ですので一旦治療が終了しても、ブラッシングが不良だと再発し、再治療が必要になってしまいます。そうならないように最も大切なことは、毎日のブラッシングです。しかし、ご自身ではきれいに磨いているつもりでも、細かい部分や磨きにくい部分に歯垢が残り、やがて硬い歯石となりブラッシングでは除去できなくなってしまいます。定期的に歯科医院でメインテナンスを行い、磨き残しのチェックや、歯ブラシの届かない歯周ポケットの中から細菌を除去することが大切です。

当院の定期検診では、最初に歯周病検査を行います。歯肉の状態を見て歯石や、バイオフィルムを除去するクリーニングを行います。磨き残しが多く残っているところや、歯肉が腫れているところがあれば歯磨きの練習をもう一度させていただくこともあります。問題が起こってから歯科医院を受診するのではなく、再び歯周病を再発させないためにも定期検診を必ずお受け下さい。